このコーナーをお開き頂き、有難うございます。
ここに掲げさせて頂いた「壷中の天」Ⅰ~Ⅲは、エッセイ風に書かれた病理組織診断に関する真鍋俊明先生の論文を集めたものですが、真鍋先生の自伝ともなっています。
私が遠隔病理診断システムを提供するITベンダーとして活動していた十数年前に、真鍋先生との最初の出会いがありました。先生の遠隔病理診断に対する情熱は非常に強く、その使命感には深い感銘を受けました。それ以来、お付き合いさせて頂き、さざなみ病理ネットの立ち上げ等にも参加いたしました。また、先生がこの一般社団法人PaLaNA Initiativeを立ち上げられた際、私も同組織の理事へとのお誘いをいただき、現在も先生と一緒に仕事を続けさせていただいております。
真鍋先生は山口県出身であり、幕末の歴史や吉田松陰のファンでもあります。先生の部屋には吉田松陰の萩焼の陶像もあると聞いています。私も、吉田松陰の周囲にいた人々との関係や、苦悩しながらも信念を貫いた強さ、そして時代に立ち向かった覚悟に共感を覚えています。それはまるで、真鍋先生が抱く熱い思いと重なるように感じられますし、私もそのように生きたいと思っています。そして、この「壷中の天」三部作には先生の病理診断学や遠隔病理診断システムに対する熱い思いや将来像が凝縮しています。このホームページを開いて頂いた方々には、是非ともこのデジタル版の「壷中の天」をお読みいただき、私が感じた思いを共有して頂ければと切に願い、このコーナーを追加いたしました。
このデジタル版は、容量がそれなりに大きいため、表示に時間がかかりますが、折に触れて、また日を改めても、是非とも通読いただければと思っています。
2023年10月
一般社団法人 PaLaNA Initiative 理事
正晃テック株式会社 代表取締役社長
森永 健一郎
・ 壷中の天-Ⅰ【59,366KB】
ここに集めた小論文の中には、私自身のものの考え方、生き方が書かれている。それはまさに「壺中の天」であるかも知れない。私の目指す病理は、私にとっては理想郷であるだろう。しかし、他の価値観、他の文化背景から見ると極めて狭小で身勝手な見解かも知れない。また、時代の進展に伴って価値観や文化も変化するし、多様性も出てくる。従って、今回通用したことが明日にはもう過去の遺物として置き去りにされる運命にも置かれ得る。このような危険があるにしても、否、むしろ危険があるからこそ、こういった考え(たとえそれが異なった考えや時代遅れの考えであっても)を人々に知らしめ、批判を受けるべきだと思うのである。
いざ実際に集めてみると40数編近くもの小論文が揃っていたが、ここにはそのうちの32編を収録した。これらのものを書く機会を与えて下さった方々には感謝の気持ちで一杯である。また、自らの医師としての、そして病理医としての成長には、これまで知り合ってきた幾多の人々の関与と彼らからの影響が大きいことは言うまでもない。この本が、それらの人々と次世代の人々への架け橋になれば幸いと思っている。
2001年1月
真鍋俊明
・ 壷中の天-Ⅱ【18,516KB】
前回の「壼中の天」が出てからすでに9年が過ぎ。10年目を迎えようとしている。時は移り行くものである。この『壼中の天Ⅱ』を自費出版しようと同じ出版社に依頼すると、もはや自費出版の業務は行っていないとのことであった。調べていくと、医学書院で行っているとのことで、お引き受けいただいた次第である。奇しくも、私の最初の書物「外科病理学入門」を出版していただいた会社であり、大いなる因縁を感じている。
2010年7月真鍋俊明
・ 壷中の天-Ⅲ【29,906KB】
まさに「人生二度あることは三度ある」である。私が病理医の生活やものの考え方について12回の連載で日本医事新報にエッセイを書かせて頂いたことをきっかけとして、その後書いた同様のエッセイをまとめて製本したことがある。初めが、奇しくも川崎医科大学を辞める1年前、二度目が京都大学を定年退職する際、そして今度が滋賀県立成人病センターの総長を退任した時に当たる。いずれも「壼中の天」と題してまとめた。
2017年6月真鍋俊明