病理組織検査は、メスや鉗子などで採取した組織片を光学顕微鏡(以下顕微鏡)で観察する検査のことをいいます。採取されてきた組織片はそのままでは顕微鏡観察はできませんので、顕微鏡で観察できる状態にしなければいけません。組織を処理して薄くスライスし顕微鏡で観察できる状態にしたものをプレパラートといいます。
プレパラートは、組織切片をカバーガラスとスライドガラスでサンドイッチ状に挟んだものをいいます。
このように組織片からプレパラートにする過程を標本作製といいますが、標本作製も病理組織検査の仕事のうちの一つです。
標本作製された組織は、次に顕微鏡によって観察されます。
組織診(組織診断)も細胞診(細胞診断)も顕微鏡を用いてミクロンレベルの観察を行います。細胞診が個々の細胞を観察するのに対して、組織診の方は1つ1つの細胞も観察しますが、細胞が集まってできた構造(これを組織といいます)を観察して、その性状を判断します。
組織診では、病変の性状がわかります。病変の性状というのは、その病変が例えば腫瘍性のものなのか炎症性のものなのか、腫瘍性ならば良性の腫瘍か悪性の腫瘍か、炎症性であれば急性の炎症か慢性の炎症か、また特異性の炎症なのかを判定します。
手術によって採取された組織の場合、腫瘍性かどうかなど病変の性状だけでなく、病変の広がりや、手術によって病変が取りきれているか、また化学療法や放射線による治療後であればその効果などの評価が必要となりますが、それも組織診で判定を行います。
このように採取した組織片を顕微鏡で観察する検査することを(病理)組織検査といい、その際に下される病変の診断のことを『(病理)組織診断』といいます。
病組織診断で観察している対象は、細胞や細胞の集まりからなる組織ですが、これらの形や大きさ、そして色調などの変化をみて、判断します。ここでは詳しくは述べませんが、正常か異常か、異常とすれば病変はどこにあるか、どういった種類の病変かといった風に観察していきます。